相続放棄された土地はどうなる?管理方法や相続土地国庫帰属制度を解説します

2024年12月18日

相続 放棄 され た 土地 「遺産相続」と書かれた紙とフレームの画像

相続放棄された土地はその後どうなる?不動産会社が解説します

相続放棄された土地の扱いは、誰が引き継ぐかによってその後の状況が大きく異なります。

相続放棄された土地は、一般的にほかの相続人に引き継がれます。しかし、ほかの相続人もその土地の相続を拒否した場合、相続放棄された土地は最終的に相続財産清算人によって処理され、場合によっては国に帰属するケースもあります。

しかし、相続放棄された土地には一定の管理責任が残るため、相続の権利を手放したらそれで終わりというわけではありません。相続放棄された土地が放置されると、近隣住民とのトラブルが生じる可能性もありますので、早めに対応策を検討すること重要です。場合によっては、遺産として引き継いだ後に売却などの方法をとった方が良いケースもあります。

この記事では、相続放棄された土地の管理義務や相続財産清算人の選任方法、また相続放棄された土地を他の手段によって手放す選択肢について解説します。相続放棄された土地がどのように扱われるのか知りたい方は、ぜひご覧ください。

 

土地を相続放棄するときの注意点

土地を相続放棄する場合の注意点を3つご説明します。

相続 放棄 され た 土地 注意点

相続放棄された土地の対応を考える前に気を付けなければならないのが、「相続放棄は全ての遺産を引き継ぐ権利や義務を手放す」という点です。土地を相続放棄するなら、現預金や建物などすべての遺産を相続できません。そのため、故人の債務が多い場合に相続放棄が選択されることが多く、土地だけが不要な場合には慎重な検討が求められます。

また、相続放棄の手続きには「相続を知ったときから3ヶ月」という期限があります。期限内に手続きができなかった場合、原則として相続放棄は認められません。

さらに、無事に相続放棄の手続きが完了したら、ほかの相続人に連絡を入れることも忘れてはいけないポイントです。「遺産を押し付けられた」など後にわだかまりを残すことにもなりかねないため、必ず連絡を取ることが大切です。

 

相続放棄された土地の管理義務について

相続放棄された土地はそのまま放置されるのではなく、次の相続人が決まるまで、あるいは相続財産清算人が選任されるまでは、最初の相続人に一定の管理責任が生じます(これを保存義務といいます)。

相続 放棄 され た 土地 管理

従来は相続放棄された土地を誰が管理するかの線引きが不明瞭でした。しかし、2023年4月からの改正民法においては、現に占有している場合に相続放棄した後も管理義務が残るとされました。例えば、相続放棄された土地にそのまま住んでいる場合は「現に占有している」とみなされ、管理責任を負います。一方で、相続人が遠方に住んでおり、相続された土地を使用している実情がない場合は「現に占有している」とはならず、管理責任がないという見方ができます。

相続放棄された土地が放置された場合には、行政指導や法的責任が生じるリスクがあります。特に、近隣住民に迷惑をかけた場合などは、損害賠償責任を追う可能性もあるため注意が必要です。

相続放棄後に管理責任を怠ったことで近隣住民に迷惑をかけた場合などは、相続人に損害賠償を追う責任が発生します。そのため、相続放棄された土地に関する管理責任が生じるかどうかはしっかりと確認しておくことが重要です。

 

相続人全員が相続放棄した場合:相続財産清算人の必要性

相続放棄された土地の権利は次の相続人へ移ることは先述のとおりですが、すべての相続人が相続放棄した場合は「相続財産清算人」の選任が必要となります。相続財産清算人とは、相続人の代わりに遺産の管理や後処理をしてくれる人物です。

相続 放棄 され た 土地 相続財産清算人

例えば、相続財産清算人は残された債務を清算し弁済を行うほか、最終的に残った遺産を国に帰属させる役割を担います。相続財産清算人を選任することにより、故人の遺産は放置されることなく適切に処理されるのです。

さらに、相続放棄された土地が不法投棄に利用されたり、相続放棄された土地の荒廃によって近隣住民に迷惑をかけたりといった、相続放棄によるトラブルを回避することができる点が大きなメリットです。これにより、相続放棄された土地が原因で発生する可能性のある問題を未然に防ぐことが可能になります。

 

相続財産清算人の選任方法

相続放棄された土地を適切に処理してくれる相続財産清算人の選任の申し立ては、故人が最期に住んでいた土地の管轄である家庭裁判所で行います。司法書士や弁護士といった専門家にも依頼できますが、自分で手続きすることも可能です。

土地をはじめとした相続放棄の手続きをする場合、相続を知った日から3ヶ月以内の申し立てが必要ですが、相続放棄された土地に関する相続財産清算人の選任の審判までには2ヶ月程度かかります。

また、費用として収入印紙が800円、官報公告料が5,075円、そのほか郵便切手代が必です。さらに予納金として、土地などの管理に必要な費用や清算人に対する報酬などを納めます。相場は100万円程度ですが、遺産の預貯金で対応が可能と判断された場合、予納金が不要なケースもあります。

相続放棄を選択した場合に相続人に必ず連絡をとるのは、相続放棄された土地の処理や相続財産清算人の選任などに関わるからというのも理由の一つです。放置された土地で問題が生じないよう、相続放棄した後のことも考え、連絡を取り合っておくことでスムーズに進められます。

相続 放棄 され た 土地 土地と住宅の画像

相続放棄以外に土地を手放すための3つの方法

相続放棄された土地を相続財産清算人に処理してもらう方法がある一方で、一旦引き継いだ後に売却や寄付という形で手放す方法もあります。現預金などのほかの遺産を放棄せずに土地を手放すことができ、市場価値が認められる土地に関しては売却して現金化した方が良いというケースもあります。

さらに、「相続土地国庫帰属制度」を利用することも可能です。これは令和3年に始まった比較的新しい制度で、望まない相続放棄された土地の救済策にもなります。ただし、制度の利用には条件や費用がありますので注意が必要です。

売却、寄付、相続土地国庫帰属制度のそれぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

売却

相続放棄したい土地を売却することで、不要な土地も資産として有効活用できます

売却を考える場合は、まず地元の不動産会社に相談してみると良いでしょう。相場の価格帯を始め、いくらで売却できるのかなどといった情報が入手することができます。また、一括査定サイトを活用してみるのも一つの方法です。

なお、相続放棄せずに一旦土地を引き継ぐ場合は登記の変更が必要となり、この名義変更の手続きを相続登記と言います。相続登記は法律上の義務となるため、売却の予定がある場合でも必ず手続きを行いましょう。

相続登記については、以下の記事で詳しくご紹介していますのでご参考ください。
親名義の土地の相続期限はいつまで?2024年法改正における手続きのポイント

寄付

相続した土地が不要な場合には、寄付するのもひとつの方法です。不要な土地をほかの誰かに役立ててもらえます。寄付する先はさまざまで、自治体や一般企業、公益法人、NPO法人などに寄付する例のほか、個人に寄付をするケースもあります。

ただし、土地を寄付された側に贈与税が発生することがあるため、あらかじめお互いが了承しておくことが大切です。また、所有権の移転登記について司法書士に依頼する場合には、数十万円の費用が発生します。

相続放棄したい土地を手放す手段として寄付を検討する場合は、手続きに必要な期間や費用を事前に確認しておくことをおすすめします。

相続土地国庫帰属制度

いらない土地を国に引き渡す仕組みとして「相続土地国庫帰属制度」があります。この制度は、相続登記の義務化とともに誕生した比較的新しい制度で、土地の相続放棄や売却、寄付などができず困っている人への救済策になります。

この制度を利用するためには、法務局に相談のうえ申請が必要です。申請には審査手数料として14,000円がかかるほか、この制度の利用が認められた場合、10年分の管理費相当額として20万円程度の負担金が発生します。

なお、制度の利用には細かい要件がありますので注意が必要です。例えば、建物がある場合や担保権が設定されている場合は、申請の段階で却下となります。

相続土地国庫帰属制度については、以下の記事で詳しく解説しています。相続土地国庫帰属制度についてさらに詳しく理解して制度を利用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
いらない土地を国に返すには?相続土地国庫帰属制度について解説します

相続 放棄 され た 土地 不動産業者スタッフの画像

相続した土地の扱いにお悩みなら、あきやの未来にご相談ください

相続放棄された土地がどのように扱われるのか、理解いただけましたでしょうか。

相続放棄された土地は、ほかの相続人に引き継いでもらったり相続財産清算人を選任したりすることで、放置することなく適切な処理が可能です。

ただし、相続放棄はすべての遺産を手放すことになりますので、最終手段として検討しましょう。相続放棄された土地は、売却、寄付、相続土地国庫帰属制度の利用など、さまざまな方法で手放すことが可能です。

「相続放棄された土地をどのように対処したら良いか教えてほしい」「まだ売却の余地がある土地をどうにかしたい」など、土地の扱いにお困りでしたら、あきやの未来(常総店・筑西店・坂東店・桜川店・つくば店)にご相談ください。

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