土地の相続放棄の仕方を知りたい!手続きの流れや注意点について詳しく解説
土地の相続放棄の仕方は、相続が初めての方にとって難しく感じられるかもしれません。
「土地を相続したけれど、遠方に住んでいるからその土地を手放したい!」「借金を相続したくないから、すべて相続放棄したい!」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。逆に、仕方なくいらない土地を相続することになった方には、相続放棄が適切な手段となるかもしれません。
相続放棄を選択することで、土地に関わる負担や税金の支払いなどから免れることができますが、注意点などを考慮して慎重に判断しなければなりません。
相続放棄の仕方は、一般的に家庭裁判所への申立てを通じて進めますが、必要書類や手続きの詳細を理解することが成功の鍵となります。この流れを事前に把握しておけば、スムーズな進行が可能です。
この記事では、相続放棄を進めるための手続きの流れや注意点について解説します。相続放棄の仕方をしっかり理解したうえで、必要な手続きを行うことが重要です。
相続放棄とは
相続放棄とは、相続人が遺産を一切受け取らないことを選択する手続きです。この方法を選ぶと、借金などマイナスの財産だけでなく、プラスの財産も含めたすべての財産を放棄することになります。
また、相続放棄には一定の期限があり、原則として、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てを行わなければなりません。この期限を過ぎると、相続放棄ができなくなり、相続が承認されたものとみなされます。
さらに、一度相続放棄を行うと、その後撤回はできませんので、慎重に判断することが重要です。これから詳しくご説明する相続放棄の仕方を理解したうえで、期限を守って正しい手続きを行いましょう。
法定相続人には順位があります
相続人には法定順位というものがあることをご存知でしょうか。相続放棄を行うと、法定順位に基づいて次の相続人に相続権が移ります。
相続放棄を選んだ場合、放棄した相続人の次に順位の高い相続人が相続権を引き継ぐことになり、誰が相続するかは法定相続人の順位によって決まります。
配偶者は常に法定相続人として優先順位が高く、次のような法定順位となります。
第1順位 | 被相続人の子ども |
第2順位 | 被相続人の両親 |
第3順位 | 被相続人の兄弟姉妹 |
法定相続人の順位は、まず第一順位に配偶者と子どもが含まれます。子どもがいない場合、第二順位として両親が相続人となり、さらに子ども、両親ともにいない場合は第三順位として兄弟姉妹が相続人となります。
放棄を含めた相続の仕方を理解することは、次の相続人へのスムーズな引き継ぎを行ううえで非常に重要です。特に法定順位を把握し、それに応じた対応を準備することが円滑な手続きにつながります。
土地の相続放棄!手続きの流れをご紹介
土地の相続放棄の仕方について、順を追ってご説明します。
相続放棄を選択することで、土地に関する負担を免れることができますが、手続きに誤りがあると放棄できなくなる可能性がありますので、期限内に間に合うよう慎重に進めましょう。
1. 相続財産を把握する
遺産のすべてを把握します。土地を含む財産や負債(債務)などを確認し、相続放棄をするかどうかを決定します。財産の確認の仕方が難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家に調査を依頼することもおすすめです。
2. 必要書類を準備する
相続放棄に必要な書類を準備します。必要書類には、相続放棄申述書や戸籍謄本、除籍謄本などがあります。書類の取得の仕方は、自治体や裁判所の案内を確認し、必要に応じて問い合わせをしましょう。
3. 家庭裁判所に申述する
必要書類を揃えたら、家庭裁判所に申述します。申述後、裁判所が相続放棄を受理します。
4. 「相続放棄申述受理通知書」が届く
相続放棄が認められると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。この通知書は、放棄した財産について責任追及がなされないことを証明する重要な書類です。
相続の放棄の仕方は、これらの4つのプロセスに従って進めることが基本です。この手続きの流れは、土地に限らずすべての相続の放棄の仕方として覚えておきましょう。
相続放棄の手続きに必要な書類や費用について
相続したくない場合、その権利を放棄するために「相続放棄申述書」の作成や必要書類を準備する必要があります。
主な書類は、被相続人の住民票の除票や戸籍謄本、相続放棄する人の戸籍謄本などです。特に、戸籍謄本については、本籍地のある市区町村で取得しなければならず、場合によっては遠方から取り寄せる必要がありますので、時間がかかることがあります。戸籍謄本の取得の仕方は、自治体のホームページなどで確認し、早めに準備を進めましょう。
相続放棄にかかる費用は、手続きの仕方によって異なります。家庭裁判所での手続きには、申述人一人あたり800円の印紙代のほか、必要書類の取得費用、連絡用の郵便切手代などがかかります。基本的な費用はそれほど高額ではありません。
しかし、相続放棄を弁護士や司法書士などの専門家に依頼する場合は、数万円~数十万円の費用がかかることもあります。専門家への依頼を検討するときは、まず手続きの仕方を相談し、あわせて見積もりを依頼することをおすすめします。
相続放棄にかかる費用については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
土地の相続放棄に費用はどのくらいかかる?ケース別にご紹介します
土地の相続放棄における3つの注意点
土地の相続放棄において、注意すべき点が3つあります。
- 相続放棄ができる期限は3カ月
- 土地の管理責任が残ることもある
- ほかの相続人への連絡を忘れない
相続放棄の手続きだけでなく、土地の管理責任や親族への配慮など、相続放棄の仕方や影響について十分に理解しないまま進めると、後々問題が発生する可能性があります。
相続放棄の仕方に不安がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら手続きを進めましょう。
ここからは、土地の相続放棄に関する注意点を詳しくご説明します。
1.相続放棄ができる期限は3カ月
前述のとおり、土地などの遺産を相続放棄するには、相続開始を知った日から3カ月以内に手続きを完了する必要があります。
家庭裁判所への申述を行いますので、3カ月という期限よりも早い段階で決断し、準備しなければなりません。この期限を過ぎると、相続放棄の仕方によっては遅すぎて放棄が認められなくなるため、注意が必要です。
相続人が複数いる場合、ほかの相続人との話し合いが必要になることもあります。また、土地以外のすべての財産の調査も行いますので、余裕を持って進めることが大切です。
期限内に手続きを進める仕方としては、事前に必要書類を準備し、家庭裁判所へ早めに相談することが重要です。3カ月という期限は意外と短く、気づけば過ぎてしまうこともあります。
「手続きの仕方がわからず迷っているうちに、あっという間に期限が来てしまった」ということのないよう、相続放棄の仕方を早めに確認し、スムーズに手続きを進めることが鍵となります。
2.土地の管理責任が残ることもある
土地を相続放棄した場合でも、その土地の管理責任が残ることがありますので、注意が必要です。
相続放棄の仕方によっては、「現に占有している」と認められる場合、その土地に対する管理責任が発生することがあります。例えば、相続放棄をしてもその土地に住んでいる場合、「現に占有している」とみなされ管理責任が生じます。一方、相続放棄した土地が遠方でまったく関わりがない場合などは、管理責任が生じないことが多いです。
管理責任が発生する条件や、管理義務を正しく進める仕方については、弁護士や司法書士に相談することが重要です。有無については個別の状況によって異なりますので、相続放棄する土地の管理の仕方を確認し、正しく手続きを進めましょう。
3.ほかの相続人への連絡を忘れない
土地をはじめとする遺産を相続放棄する場合、必ずほかの親族への連絡と情報共有が必要です。
相続放棄を行うと、その土地などの遺産はほかの相続人に引き継がれます。そのため、手続きを進める前に、自分の意思をしっかり伝えることが重要です。
情報共有が不十分だと、後々トラブルが発生する可能性があります。例えば、ほかの相続人が「不要な遺産を押し付けられた」や「仕方なく相続を引き受けることになった」と考えることも想定できます。
こうした誤解を防ぎ、後々のわだかまりを避けるためにも、相続放棄を決めた段階ですぐにほかの相続人に連絡し、情報を共有することが大切です。
円滑な相続を進めるための仕方として、ほかの相続人との事前連絡をプロセスに加えておくことが、手続きの仕方のポイントです。
相続人全員が相続放棄した場合どうなるの?
相続人全員が相続放棄するケースもあり、その場合の手続きの仕方がどうなるのか不安に思われる方もいらっしゃいます。
相続放棄の手続きが完了すると、放棄された土地は次の相続人に引き継ぐのが一般的です。しかし、相続人全員が放棄した場合や相続人が1人の場合は、「相続財産清算人」の専任申立てが必要となります。
例えば、被相続人に多額の借金があり相続放棄が行われた場合、相続人の代表者は家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てます。
申し立てによって選任された弁護士などの相続財産清算人は、相続放棄した財産の管理を行うことになり、プラスの財産とマイナスの財産を清算してくれます。さらに、土地が残った場合、相続財産清算人が「相続土地国庫帰属制度」の申請にも対応します(相続土地国庫帰属制度については後述します)。
専門家の力を借りることで、適切な仕方で手続きを進めることができます。
相続放棄以外にも土地を手放す方法はあります!
相続放棄以外にいらない土地を手放す方法をご紹介しましょう。
- 売却
まず候補となるのは、土地の売却です。不動産会社に相談し、売却の可否や売却の仕方を確認してみましょう。売却のほかにも、土地を買い取ってくれるケースもあります。
売却の前には相続登記が必要となる点にも注意が必要です。相続登記の仕方については、以下の記事をご参照ください。
土地の相続に必要な書類とは?取得先や登記申請の流れについても解説!
あきやの未来では、売却に加えて買取にも対応していますので、迅速に土地を手放す手段としてお役に立てるでしょう。
- 寄付
これは土地を誰かに無償で譲渡する方法で、自治体や法人に寄付することができます。ただし、寄付する相手先によって税金が発生し、相手先が受け入れることが前提となりますので注意しましょう。
寄付の仕方については、自治体や対象の法事に事前に確認することをおすすめします。
- 相続土地国庫帰属制度
土地を国に引き渡す「相続土地国庫帰属制度」を利用する方法もあります。令和5年4月から実施されたこの制度では、一定の要件を満たす土地を国に帰属させることができます。
ただし、相続放棄した土地に建物が経っている場合は、この制度の要件に該当しないため、事前に建物を解体するなどの対応が必要です。また、この制度を利用するためには、審査手数料や予納金などの費用がかかります。
この制度の利用の仕方については、以下の記事もあわせてご参考ください。
いらない土地を国に返すには?相続土地国庫帰属制度について解説します
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今回の記事では、土地の相続放棄を進めるための手続きの流れや注意点を解説しました。いざというときに手続きの仕方で困らないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。もし手続きの仕方に不安があるなら、初めから専門家に依頼することをおすすめします。
繰り返しになりますが、相続放棄はすべての遺産を放棄することを意味し、特に負債が多い場合などに「仕方なく」選ばれることが多い手続きです。土地だけを手放したい場合には、売却や寄付、相続土地国庫帰属制度などの選択肢もありますので、相続放棄は最終手段として検討されることをおすすめします。
あきやの未来では、土地の売却についても柔軟に対応しており、仲介だけでなく買取も行っています。土地の相続放棄の仕方など、不動産の手続きやお悩みに関しては、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。