親の土地の相続放棄はできるのか?メリット・デメリットや注意点、手続きの流れ、他の選択肢について解説します

2024年12月25日

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親の土地を相続放棄することは可能なのか?不動産会社が解説します

親の土地を相続放棄することは可能です。「親の土地を相続するか、それとも放棄するか」というお悩みについて、あきやの未来でも相談されるケースがあります。

相続放棄とは、親が遺した財産だけでなく、負債も含めて一切の権利や義務を引き継がないという選択肢です。例えば、親の土地の維持管理が負担になる場合や、親が抱えていた借金の返済に不安がある場合には、相続放棄は有効な手段となることもあります。

この記事では、不動産会社の観点から、親の土地を相続放棄する場合のメリット・デメリット、注意すべき点、そして手続きの流れについて、わかりやすく解説します。

親の土地を相続放棄する場合のメリット・デメリット

親の土地を相続放棄することには、メリットとデメリットがあります。

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メリット

  • 負債の回避

親に借金がある場合、相続すると返済義務も引き継がれますが、親の土地を相続放棄することで借金や抵当権の支払いを回避できます。

  • 管理負担の軽減

親の土地を相続すると、固定資産税や管理費用がかかりますが、相続放棄することで、これらの費用負担から解放されます。

  • 相続トラブルの回避

親の土地を相続放棄することで、ほかの相続人との間で生じる可能性のあるトラブルからも解放されます。

 

デメリット

  • すべての財産を放棄することになる

親の土地を相続放棄すると、プラスの財産(預貯金や土地・建物など)も含めて、すべての遺産を放棄しなければなりません。

  • 撤回ができない

一度相続放棄すると、原則として撤回はできません。後から親の財産が多かったことが判明しても、放棄したことを取り消すことはできないのです。

  • ほかの相続人に影響が出る

親の土地を相続放棄すると、次の順位の相続人に相続権が移るため、ほかの相続人に負担がかかり、トラブルを招く恐れがあります。

親の土地の相続放棄は慎重に判断し、メリットとデメリットをよく考えたうえで決断することが重要です。

相続放棄しても一定期間残る管理責任

親の土地を相続放棄をした場合でも、一定期間は管理責任が残ります。

親 の 土地 相続 放棄 管理責任

相続放棄を選んだ場合、親の土地をほかの相続人が引き継ぐか、相続財産清算人が選任されて土地の処分が行われるまで、管理責任は続きます

すべての相続人が土地の相続放棄をした場合、その財産は最終的に国に帰属しますが、その過程で「放棄したから関係ない」という姿勢は認められません。

管理責任を怠ると、近隣の家屋に損害を与える可能性があり、損害賠償を請求されるリスクもあるため注意が必要です。

こうしたトラブルを回避するためには、相続放棄後の管理責任を適切に果たし、速やかに相続財産清算人の選任手続きを行うことが大切です。

管理責任については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
相続放棄後の管理義務は改正後も残る?改正のポイントや対処法について不動産会社が解説!

相続放棄を選択するときの3つの注意点

親の土地の相続放棄を選択する際には、以下の3つの重要なポイントに注意が必要です。

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  1. 親の土地だけを放棄できない
    相続放棄は、特定の財産だけを放棄することができません。
  2. 相続放棄の期限は3カ月
    相続放棄の手続きは、相続開始を知った日から3カ月以内に行わなければなりません。
  3. ほかの相続人への連絡が必要
    相続放棄を決めた場合は、ほかの相続人に必ず連絡し、情報を共有することが大切です。

これらの注意点を理解し、慎重に判断したうえで相続放棄の手続きを行うことが重要です。

ここからは、3つの注意点について具体的にご説明します。

土地だけを個別に放棄することはできない

相続放棄では、親の土地や家などの特定の財産だけを放棄することはできません。

相続は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産(借金や未払金など)を全体として扱うため、親の土地を含むすべての相続財産を一括で放棄する必要があります

もし、親の土地など、特定の財産だけを手放したい場合は、相続放棄ではなく、売却や寄付など他の方法を検討しましょう。

相続放棄すると、すべての財産を放棄することになるので、親の土地の相続放棄については慎重に考えて決めることが大切です。

相続放棄の期限は3カ月

親の土地の相続放棄は、相続開始(被相続人の死亡)を知った日から3カ月以内に手続きを行わなければなりません。

この期間は、親の土地を含む財産や負債の状況を確認し、相続放棄を決めるまでに与えられる猶予期間です。期限を過ぎると、法的に相続を承認したとみなされるリスクがあるため、注意が必要です。

もし期限が迫っている場合は、家庭裁判所に対して期間延長の申立てを行うこともできますが、延長が認められるかは裁判所の判断によるため、必ずしも延長できるわけではありません。そのため、親の土地の相続放棄を選ぶ場合は、期限内に手続きを完了させることが最も確実です。

相続放棄したらほかの相続人に連絡が必要

親の土地の相続放棄を行った場合、必ずほかの相続人にその旨を伝えることが重要です。

相続を放棄すると、その人の相続権は消失し、次の順位となる相続人に権利が移ります。そのため、相続放棄の事実をほかの相続人に伝えておかないと、誤解やトラブルが生じる可能性があります。親の土地の相続放棄については、事前に相続人全員で話し合うことが不可欠です。

連絡を怠ると、財産の管理責任が不明確になったり、財産分割の手続きが遅れたりすることがあります。こうしたトラブルを避けるためにも、親の財産の相続放棄後は速やかにほかの相続人に通知し、今後の手続きについて合意を得ることが非常に重要です。

相続放棄の手続きの流れをご説明します

相続放棄の手続きの流れについてご説明しましょう。

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相続放棄を決めたら、家庭裁判所に「相続放棄申述書」と必要書類を提出します

必要書類には、申述人の戸籍謄本や被相続人の戸籍謄本などがあり、場合によって被相続人の財産や借金の状況についても説明が求められることもあります。

書類が受理されると、家庭裁判所は審査を行い、無事に審査を通過すると「相続放棄申述受理通知書」が届き、手続きが完了します。

スムーズに進めば、1ヶ月以内で手続きが終了しますが、裁判所との郵送でのやり取りや、裁判所内での審査に時間がかかる場合もあるため、1ヶ月以上かかることもあります。

親の土地の相続放棄は、一度放棄するとその後の相続権を失うため、十分に検討してから手続きを行うことが大切です。

また、手続き後にはほかの相続人や関係者にその旨を通知し、トラブルを防ぐことが重要です。

相続放棄の必要書類や費用は?

相続放棄を申立てるためには、以下の書類が必要です。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票、または戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本
  • 被相続人の戸籍謄本
  • その他の血縁者の戸籍謄本(該当する場合)

また、これらの書類を取得するために、次の費用がかかります。

  • 収入印紙代: 800円(申述人1人分)
  • 戸籍謄本: 450円~750円(取得する戸籍の種類による)
  • 住民票除票または戸籍附票: 300円
  • 連絡用の郵便切手: 約400円~500円

相続放棄をする人によって必要な書類が異なるため、書類取得にかかる費用はケースバイケースで異なります。自分で相続放棄の手続きを行う場合、実費として3,000円から5,000円程度を見込んでおくと良いでしょう。

さらに、専門家に手続きを依頼する場合、以下の費用がかかります。

  • 司法書士に依頼する場合: 3万円~5万円程度
  • 弁護士に依頼する場合: 5万円~10万円程度

相続放棄の手続きを専門家に頼むか、自分で行うかを考慮し、費用面も含めて決めることが大切です。

不明点があれば専門家に相談しましょう

親の土地の相続放棄の手続きが複雑で不安な場合、専門家である弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

親 の 土地 相続 放棄 専門家

専門家に依頼すれば、正確かつスムーズに手続きが進められるため、手続きミスや書類不備を防ぎ、トラブルを回避できます。また、相続放棄に関する法律的な知識が豊富な専門家は、複雑な状況にも対応でき、最適なアドバイスを提供してくれるため、安心して手続きを任せることができます。

前述のとおり、相続放棄には期限がありますので、親の土地の相続放棄を行う場合には、専門家のサポートを活用し、スムーズに進めましょう。

相続放棄以外の処分方法を3つご紹介!

相続放棄以外にも不要な親の土地を処分する方法はあります。

親 の 土地 相続 放棄 処分方法

ここでは、売却、寄付、相続土地国庫帰属制度の3つの方法をご紹介します。

1. 土地を売却する

土地を売却すれば、現金化して資産を有効活用できます。複数の不動産会社に査定を依頼することで、親の土地の売却価格を適正に見極めることができるでしょう。

2. 土地を寄付する

土地を自治体や公益団体に寄付する方法もあります。寄付先には、地域社会への貢献を目的とした公益団体や、市町村などがあります。

3. 相続土地国庫帰属制度を利用する

相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を国に引き渡すしくみです。この制度を利用するためには、一定の要件を満たす必要がありますが、制度を利用できれば親の土地にかかる維持管理の負担を軽減できます。

この制度の詳細については、過去の記事もご参考ください。
いらない土地を国に返すには?相続土地国庫帰属制度について解説します

親の土地の扱いにお困りでしたら、あきやの未来にお任せください

親の土地の扱いにお困りの場合は、あきやの未来(常総店・筑西店・坂東店・桜川店・つくば店)にお任せください。

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今回の記事では、親の土地を相続放棄する場合のメリットやデメリット、そして注意点や手続きの流れについて解説しました。

親の土地をどのように扱うかは、相続放棄を含めて慎重に決めるべき大きな問題です。相続放棄は一度手続きが完了すると撤回ができないため、十分理解したうえで選択しましょう。

あきやの未来では、親の土地に関するお悩みを解決するお手伝いをいたします。不動産の売却だけでなく、買取や空き家の管理にも対応していますので、専門のスタッフが親身になって対応いたします。

お困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。