遺産相続の期限が土地にどう影響する?過ぎたらどうなるのか、リスクについても解説します

2024年3月15日
遺産 相続 期限 土地 登記

土地などの遺産相続における手続きの期限はいつからいつまで?

遺産相続の手続きには期限があります。特に、土地や建物などの不動産を含む遺産相続では、法的な期限を守らないと大きなリスクに発展する可能性があります。土地の名義変更や遺産分割に関する登記の遅れは、後々のトラブルにもつながるため注意が必要です。

慣れない手続きに戸惑う方も多いですが、不明な点は一人で悩まず、行政書士や税理士・税務署といった専門機関に相談すると安心です。専門家の力を借りながら、早めの行動を心がけましょう。

この記事では、土地などの遺産相続後の手続きとその期限、期限を過ぎた場合のリスクや注意点について解説します。ポイントとなる重要な期限を理解しておくことで全体的なスケジュールが見えますので、ぜひ参考になさってください。

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相続開始・相続人の決定

遺産相続は、被相続人(亡くなった方)の死亡により自動的に始まります。土地や建物などの不動産を含む遺産を適切に引き継ぐために、戸籍などを確認して速やかに相続人を確定することが、最初の重要なステップです。

死亡届の提出や火葬許可証の取得といった行政手続きと並行して、相続手続きの準備を始める必要があります。遺産の放棄や承認の判断を誤らないためにも、「相続開始日=死亡日」を基準に手続きの流れを把握しておくことが大切です。

遺産や債務の把握、相続人間の調整など、早めの対応がトラブル回避の鍵になります

遺産(相続財産)の調査

土地や建物などの不動産を含む遺産相続では、財産の調査が非常に重要です。遺産の内容を正確に把握することで、相続放棄や限定承認などの判断がスムーズに行えます。

遺産とは、現金や預貯金、不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借金やローンといったマイナスの財産も対象になります。

調査は通常、通帳・登記簿・契約書などの確認を通じて行います。次にご説明する相続放棄の期限である「相続開始を知ってから3か月以内」にすべて洗い出す必要があるため、迅速かつ正確な調査が求められます。

土地に関しては相続評価や登記の有無が問題となるケースもあり、負債とセットで相続する可能性もあります。不動産だけでなく現金や借金も対象となるため、全体のバランスをしっかりと把握しましょう。

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【3カ月以内】相続放棄の期限

故人が遺した「遺産」には、預貯金や土地や建物などの資産だけでなく、借金などの負債も含まれます。遺産よりも借金が上回るケースでは、相続放棄を選ぶことで不要な負債を背負わずに済むことがあります。そのため、相続を希望しない・権利を放棄したいというケースもあるのが現状です。

遺産を相続する権利を手放す「相続放棄」を希望する場合、相続が発生したことを知った日から3カ月以内に、相続放棄の手続きを行う必要があります。

この3カ月という期限は、他の相続手続きと比べても最も短いため、相続時に注意が必要です。期限を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなる可能性があります。土地の維持管理の負担が大きい場合は、早めの判断しましょう。

なお、相続放棄はすべての相続財産を放棄することになります。相続放棄の申請が承認されると、どんな理由であろうと取り消しができませんので、財産と負債のバランスを慎重に検討したうえで相続放棄の意思決定を行いましょう。

相続放棄については、以下の記事も参考になさってください。
相続放棄について詳しく知りたい方はこちら

【4カ月以内】被相続人の準確定申告

被相続人が死亡した年の所得については、相続人が代わって「準確定申告」を行う必要があり、給与所得、年金収入のほか、不動産所得も対象となります。特に、遺産として賃貸物件や土地収入がある場合、適切な申告を行わないと、延滞税や加算税の対象となることがあります。

準確定申告は、相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内の期限が設けられています。遺産全体の把握を含めて、土地関連の所得も見落とさないよう、早めに税理士などの専門家と連携しながら、必要書類の準備と申告を行いましょう。なお、申告後に還付が発生するケースもあるため、その点の確認も重要です。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産をどう分配するか話し合い、合意に達するための手続きです。被相続人が遺言書を残していない場合、協議は必須となります。

遺産分割協議では、土地や建物といった不動産をどう分けるかが大きなポイントになります。土地は共有名義になると売却や登記に支障をきたすことがあるため、相続人全員で慎重に協議を行う必要があります。協議が成立すると「遺産分割協議書」を作成します。

遺産分割がまとまらないと、土地などの相続登記や納税にも影響するため、相続人全員で早めの協議・合意形成が重要です。

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【10カ月以内】相続税の申告・納税期限

土地や建物を含む遺産を受け継いだ場合、相続が発生した日から数えて10カ月以内に、相続税の申告および納税を行う必要があります。この「10カ月」という期間は、相続財産の評価、適切な税額の計算、必要書類の準備、税務署への申告のために設けられています。

特に土地の評価は複雑で、相続税額に大きな影響を与えるため、専門家の力を借りて正確な評価を行うことが大切です。

そして、注意しなければいけないのが、相続税の申告だけでなく、納税の期限も同じ10カ月であるという点です。

この期限を遵守しない場合、遅延税金や加算税が課されるリスクがあります。特に、相続税の申告を怠ったり、故意に遅らせたりすると、税務調査の対象となる可能性が高まりますので注意が必要です。

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【3年】不動産の相続登記期限

2024年(令和6年)4月1日から、遺産として土地や建物などの不動産を取得した場合には、相続開始から3年以内に「相続登記」を行うことが法律で義務付けられました。相続登記とは、遺産として受け継いだ不動産を、被相続人から相続人へ正式に変更する手続きです。

期限をもう少し厳密にいうと、「相続の開始及び所有権を取得したと知った日から3年以内」とされています。2024年4月より新たに設定された期限ですが、過去に遺産として受け継いだ不動産にも遡って適用されるため、すでに土地などを相続している方も対象になります。

遺産の中に不動産が含まれる場合は、登記期限を確認し、早めの手続きを心がけましょう。

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土地や建物の遺産相続で期限が重要な理由

土地や建物を含む遺産相続が発生した場合、相続人は一定の期限内に相続の手続きを行い、遺産である不動産の名義変更を完了させる必要があります。

実はこれまで、土地や建物などの名義変更には明確な期限が定められていませんでした。しかし、相続された土地などの名義変更が長年放置されることで、空き家や空き地の増加し、遺産の管理が困難になるケースが社会問題となっています。その対策として、2024年4月より、不動産を相続した際には、3年以内に名義変更(相続登記)を行うことが義務化されたのです。

この名義変更を怠った場合、遺産として相続した土地や建物に対して10万円以下の過料が課せられる可能性があります。遺産相続後の期限が法律で定められたことで、手続きに対する意識向上と、土地の有効活用が促されることが期待されています。

このように、法律上の期日や罰則という観点からも、土地などの遺産の名義変更は非常に重要です。期限内に確実な対応を行い、トラブルを未然に防ぎましょう。

相続した土地の名義変更をしないと、罰則以外にどんなリスクがある?

遺産相続で土地や建物を受け継いだにもかかわらず、期限を過ぎて名義変更を放置していると、罰則以外にもさまざまなリスクが発生します。

まず、年数を経れば経るほど遺産である土地の名義変更が難しくなる恐れがあります。例えば、相続人が高齢化して意思疎通が困難になったり、死亡によりさらに次の相続が発生したりすると、土地などの所有権を証明するための書類が不足し、遺産の調査や手続きがより複雑になります。成年後見人の選定が必要になることもあります。このことは不動産に限らず、遺産相続全体に言えることです。

また、土地や建物の売却も故人の名義のままではできません。必ず名義変更してからの売却となります。売りたいタイミングで確実に売却するためにも、期限にとらわれず遺産相続したら早めに名義変更の手続きをしておくことが、リスクの回避につながります。

さらに、土地の評価額が不正確なまま放置されることで、相続税の申告内容に誤りが生じるリスクもあります。正確な遺産の評価や名義変更を怠ると、結果として追徴課税や罰則の対象となる可能性もあるため注意が必要です。

このように、土地などの遺産の名義変更を後回しにすることは、将来的に大きな負担やトラブルを招くリスクを伴います。

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土地などの相続手続きの期限を逃した場合、対処法はあるのか?

遺産相続に関する手続きの期限を過ぎてしまったとしても、すぐにすべてを諦める必要はありません。土地などの遺産についても、状況に応じた対処を行うことで問題解決は可能です。まずは落ち着いて状況を整理し、何から手を付けるべきか考えましょう。

例えば、土地の相続登記を怠った場合でも、事情を整理してから専門家に相談すれば、過料を回避できる場合や、正しい手続きを踏んで遺産を適切に処理する道が残されています。

ただし、期限を過ぎた後の対応はより複雑かつ専門的な知識を要します。一般的に、土地などの登記司法書士が専門です。税金について税理士が、権利の放棄について弁護士がスペシャリストとなります。これらの専門家は、遺産相続に関する難しい問題を解決するための知識と経験を持っていますので、それぞれの専門領域で支援してくれます。

遺産相続の期限を逃したことで不安やプレッシャーや不安を感じる方も多いですが、土地を含めた遺産の手続きは、専門家のサポートを受けることで着実に解決への導くことができます。相続のことで困ったときは一人で悩まず、まずは相談することから始めましょう。

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相続税以外にも期限がある手続きを押さえておきましょう

遺産相続と聞くと「相続税の申告と納付」が注目されがちですが、実際にはそれ以外にも遺産に関する重要な手続きがあり、それぞれに期限が定められています

例えば、遺留分の侵害がある場合の請求葬儀に関する費用の請求生命保険金の受け取り、さらには相続税の還付請求などがあります。これらの手続きを知らないまま放置すると、土地などの遺産に関する権利を失ってしまう恐れもあるため注意が必要です。

ここからは、遺産に関わる手続きごとに、期限やポイントを詳しく解説していきます。

【1年以内】遺留分侵害額請求

遺留分とは、特定の遺産の分配において、特定の相続人に最低限の取り分を保障する制度が「遺留分」です。不動産など高額な遺産があるご家庭では、特に重要な制度です。

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被相続人は遺言によって自由に財産分配できますが、過剰な生前贈与や偏った遺言によって、法定相続人の取り分が極端に少なくなることがあります。このような場合、遺産の中に土地が含まれていても、相続人は「遺留分侵害額請求権」によって不足分の補填を求めることができます。

ただし、この請求には「相続開始と侵害を知った日から1年以内」という期限があるため、土地や不動産を含む遺産に不公平感がある場合は、早急に内容を確認し、専門家に相談することが重要です。期限を過ぎると請求権は消滅してしまいます。

【2年以内】埋葬料や葬祭費の請求

被相続人が国民健康保険や後期高齢者医療制度、健康保険組合の保険などに生前加入していた場合、死亡後に「埋葬料(葬祭費)」が支給されることがあります。これも土地などの遺産相続とあわせて確認しておきたい重要な給付です。

この給付金の請求には「死亡日から2年以内」という期限があり、遺産相続手続きと並行して忘れずに申請する必要があります。支給額は制度や地域によって異なりますが、数万円の支援となることが多いため、経済的な負担軽減のためにも早めの手続きが大切です。

【3年以内】生命保険金の請求

被相続人が生前に契約していた生命保険において、受取人が指定されている場合は、一般的に「死亡から3年以内」に保険会社への請求手続きを行う必要があります。これも遺産の一部とみなされ、土地などの不動産とあわせて相続財産に含まれるケースがあります。

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万が一、期限を過ぎると保険金の請求権が消滅してしまうため注意が必要です。また、受取人が相続人でない場合でも、土地を含む遺産全体の評価額次第で相続税の課税対象になる場合があります。税務上のリスク回避のためにも、生命保険金の確認の請求は早めに行いましょう。

【5年10カ月以内】相続税の還付請求

遺産に含まれる土地や不動産の評価を誤り、相続税を多く納めてしまった場合、「相続日から5年10カ月以内」であれば税務署に対して還付請求が可能です。

特に、土地の評価は地域や条件によって大きく変動するため、専門家の目を通さずに自己判断で評価を行うと、課題な相続税を支払ってしまうリスクがあります。遺産の中に土地が含まれている場合は、申告後でも一度内容を見直し、還付対象になり得るかを確認することをおすすめします。

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今回の記事では、土地などの遺産相続後の手続きとその期限、期限を過ぎた場合のリスクや注意点について解説しました。遺産相続に関わる手続きは、相続人の数や相続財産が多いほど複雑になりがちですが、土地などの相続登記は将来的なリスクが大きいため、期限を遵守して速やかに手続きを行うことが大切です。

土地の相続に関する法的な手続きは一人ひとりの状況によって必要な対応が異なるため、お一人で対処するのは大変なことが多いと思います。お困りごとがありましたら一人で抱え込まず、まずは経験豊富なあきやの未来まで、お気軽にご相談ください。あきやの未来は茨城県西エリアに精通した不動産会社で、相続で受け継いだ土地や建物の売却、買取、さらには空き家の管理まで、幅広く対応しております

状況にあわせて適切なアドバイスをご提供いたしますので、お気軽にお問合せください。

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