相続放棄をした家はどうなる?相続放棄後の親の家の扱いや注意点について解説!

2024年4月29日

相続 放棄 した 家 は どうなる 遺産問題

相続放棄をした家はどうなるの?知っておくべきポイントを解説

相続放棄をした家はどうなるのか、放棄する前に何をしたら良いのか、気になる方もいらっしゃると思います。

親の家を相続する場合、相続人には相続税や固定資産税などの税金が課せられたり、その家の管理責任を負うことになります。相続人が親の家から離れた場所に住んでいたり、空き家になった親の家を維持する負担を考えたら、いっそのこと手放してしまったほうが良いと思われる方もいるのではないでしょうか。

しかし、相続した家は簡単に手放すことはできず、法的な手続きを行う必要があります。

この記事では、相続放棄をした親の家がどうなるか、法的扱いや保存義務、義務を怠った際に生じるリスクについて解説します。相続放棄を検討中で、自分のケースに当てはめるとどうなるのかが気になる方は、参考になさってください。

相続放棄とは?

相続放棄は、故人の財産を相続する権利を一切放棄するという法的な手続きです。

相続放棄をすると、相続権は他の相続人に移ります。

負債が多く財産を受け継ぐことが負担になる場合に、相続放棄を選ぶケースがよく見られます。

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ただし、次の点に注意しなければなりません。

  • 一部の相続財産を放棄することはできず、すべての相続財産を放棄する必要がある。
  • 相続が発生したことを知った日から3カ月以内に、家庭裁判所に申出を行う必要がある。
  • 一度相続放棄の手続きが完了すると撤回ができなくなる。

自分が相続放棄したら相続権はどうなるのか、本当に全ての財産を放棄して問題ないのかを慎重に考える必要があります。

相続放棄をしても管理の責任が残ることも

相続放棄をすれば、故人の借金などを相続する必要はありませんが、家などの不動産はどうなるのでしょうか。物理的に「家」そのものは消えませんので、相続放棄をしても、その家を誰が管理するかという問題が残ります。

実は、これまでの民法においては、相続放棄をする場合に、財産を管理する責任の所在がどうなるのかが不明瞭な状態でした。

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それが、2023年4月の民法改正により、「相続財産に属する財産を現に占有している相続放棄者」が管理の責任を負うことになると明確化されました。つまり、相続放棄をしたときに、その相続人が対象の財産を事実上管理していない状態であれば、管理の責任を負う必要はないということです。

また、法改正に伴い、管理する責任の呼称が「管理義務」から「保存義務」に変わりました。保存義務に変わったことで財産を管理する責任はどうなるのか、という点ですが、法改正があっても責任の程度は変わらず、これまでと同様に相続財産を適切に管理しなければなりません。相続人は財産を傷つけたり、その財産によって第三者に損害を与えないよう、現状維持する必要があります。

勝手に相続財産を処分すると、相続放棄ができなくなるおそれがありますので注意しましょう。

また、保存義務の期間も明確になりました。

  • 他に相続人がいる場合:相続放棄をしていない他の相続人に引き渡すまで
  • 他に相続人がいない場合:相続財産清算人に引き渡すまで(詳しくは後述します)

他の相続人や相続財産清算人に家を引き渡すまでの間は、その相続人が保存義務を負いますが、引き渡しが終われば保存義務はなくなります。

親の家を相続放棄をしたらどうなる?パターン別に解説します

親の家を相続放棄をすると保存義務はどうなるのか、詳しく解説します。

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相続財産の中には、親の家が含まれていることが多いと思います。しかし、親の家が遠方にあったり、空き家として放置されていたら、誰がその保存義務を負うのでしょうか。

まず、他に相続人がいる場合はどうなるのかを説明します。

相続財産の保存義務は原則相続人にありますので、一部の相続人が相続放棄をしたら、他の相続人が保存義務を負います。相続放棄は相続人それぞれが行う手続きのため、相続放棄をしない相続人に親の家を含む財産の相続権が移ります。

それでは、相続人全員が相続放棄をした場合はどうなるのでしょうか。

結論から言うと、親の家は一定の手続きを経て、国のものになります。

この「一定の手続き」というのは、弁護士などを「相続財産清算人」とするための申し立てを行い、法的に相続人がいないことを証明することです。相続財産清算人は、相続放棄人に代わり、相続財産の管理や債務の整理、相続税の申告など、相続に関わる手続きを円滑に行います。

保存義務を負った相続人が、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立て、相続財産清算人が選任されたところで、相続人の保存義務は終了となります。

国庫に帰属された不動産がその後どうなるかというと、公園や学校、公共施設などに再利用されるケースが多いようです。また、不動産が売却され、その収益が国の財源になる場合もあります。

親の家の保存義務を怠った場合のリスクはどうなる?

親の家の保存義務を怠り、空き家の状態で放置しておくと、次のようなリスクが発生します。

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  • 賠償損害を請求される

空き家の状態で放置しておくとどうなるか、想像してみてください。

倒壊の危険性や犯罪に悪用される可能性があり、近隣に迷惑がかかります。また、害虫や雑草が増加することで景観が損なわれるだけでなく、周辺環境にも悪影響を及ぼすかもしれません。

もし家の管理者がこれらの問題に責任を持つと判断されたら、損害賠償請求を受ける可能性があります。

  • 行政代執行される

空き家を放置し近隣に迷惑がかかる場合、行政が介入し指導を行うケースがあることをご存知でしょうか。

管理が適切に行われていない「特定空き家」に指定された場合、行政は所有者に対し助言や指導、勧告、命令などを行います。それでも空き家を放置し続けた場合、行政が空き家を解体・撤去するなどの管理を行いますが、解体費用は保存義務を負う者に請求します。

保存義務を怠るとトラブルにつながりやすく、精神的にも経済的にも大きな負担がのしかかりますので、十分注意しましょう。

相続放棄したらどうなるか、よく考えて決断しましょう

相続放棄したらどうなるのか、よく考えたうえで決断することが大切です。なぜなら、一度相続放棄をしてしまうと、あとから撤回ができないからです。

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まずは、相続人同士で家を残す必要性についてしっかり話し合うことが重要です。家を残す必要がない場合は、家を売却できたら負債がどうなるかも考えてみましょう。家の売却利益を負債に充てることができれば、相続放棄をしなくて済むかもしれません。不動産会社に相談してみることで、良いアドバイスがもらえる可能性もあります。

また、財産の価値と負債の状況を正確に把握し、将来的な責任やリスクを検討しましょう。その結果、負債が大きく返済が難しいと判断した場合は、相続放棄が適切な選択肢になる可能性があります。

なお、相続人全員が相続放棄した場合に「相続財産清算人」の選任が必要ですが、その際にも予納金として数十万円から百万円程度の費用がかかります。このような費用についても考慮し、相続放棄をするとどうなるのか、保存義務やリスクについて慎重に検討することが大切です。

「法律が難しくて自分のケースだと家の扱いがどうなるかわからない」「相続放棄を選択することがベストなのか誰かの意見を聞きたい」などのように、相続放棄をすべきか悩まれているのでしたら、早めに弁護士に相談されると安心です。弁護士に相談すれば、相続放棄をするとどうなるかをあらゆる角度から検討し、適切なアドバイスをしてくれます。

相続放棄の手続きは「相続開始を知ってから3カ月以内」という法的な期限があることも忘れてはいけません。スムーズに手続きを進めるためには、相続問題に強い弁護士に相談しましょう。

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今回の記事では、相続放棄をした親の家がどうなるのか、法的扱いや保存義務、義務を怠った際に生じるリスクについて解説しました。

何度も繰り返しますが、一度相続放棄をしてしまうと、後で取り消しはできません。相続放棄をするとどうなるのか、まずは相続人同士でしっかり協議し、損のないように決断しましょう。また、相続放棄について悩まれたら、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

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