認知症軽度でも不動産売買は可能?親の不動産の売却方法

2023年8月25日

認知症の軽度は不動産売買はできるか?

認知症でも軽度ならば不動産売買が可能といえます。

それは、認知症でも判断能力があり、自分で意思決定ができると認められる場合です。

ただし認知症の軽度といっても人によって症状が異なるため、一概に判断能力があると認められるわけではない点に注意が必要です。

また、重度の認知症で会話も難しい状態になると、自身の判断での不動産売買は難しいと言えます。

原則として不動産売買は本人の立ち会いの下で進められますが、一部の理由の場合のみ代理人に手続きをしてもらう方法があります。

例えば不動産を所有する本人が、けがで入院していたり遠方に住んでいたりする場合は、代理人をたてて売却契約を結ぶことができます。

代理人でも契約できるなら、問題はないと思った方もいるかもしれません。

しかし、不動産売買で代理人をたてられる場合には条件が付いています。

それは本人が適切な代理人を選任できることです。

そのため、認知症の親の場合はこの条件は非常に厳しいといえます。

認知症が軽度から重度であり、自分で適切な意思決定をすることが難しい場合、適切な代理人も選べないと考えられるからです。

法的に適切な代理人を選定する必要があるため、不動産売買のための代理人の選任には、本人の意思がはっきりしていることが不可欠となります。

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認知症になった親の不動産を売却する方法!成年後見制度の仕組みとは

認知症になった親の不動産を売却したい場合はどうすればよいのでしょうか。

軽度か重度かに関わらず、認知症の親が所有する不動産を売却する方法はあります。

成年後見制度は、本人の代理である成年後見人が代わりに不動産売買の契約を行える制度です。

この制度を利用するためには家庭裁判所に対して、認知症の方の配偶者や親族などが申し立てをする必要があります。

申請の際には医師からの診断書を提出する必要があるので、不動産売買のために成年後見制度を利用したい方は、医師から認知症の診断書をもらいましょう。

 

この制度は、法定成年後見制度と任意後見制度の2つに分けられます。

法定成年後見制度は、家庭裁判所が選任する制度で、認知症になって本人では判断できなくなってから、本人や親族の状況を判断して利用できます。

さまざまな状況を踏まえて判断されるので公平とも言えますが、認知症が軽度か重度かに関わらず、本人の意思が反映されるかどうかはわかりません。

 

任意後見制度は、本人に判断の能力があるうちに、代理に誰を選任するかを決めておく制度です。

本人が意思決定できる間に代理人を決められるので、本人にとって最も良い選択になると言えるでしょう。

特にご高齢で不動産を所持している方は、将来の不動産売買の可能性を考えて、ご家族と話をしておくとよいでしょう。

 

成年後見制度を利用する際の注意点とは

成年後見制度を利用する際にはいくつかの注意点があります。

以下では、認知症軽度から重度の方の不動産売買で、成年後見制度を利用するときの注意点を3つご紹介します。

 

1つ目に住居用の不動産の売却では利用できない可能性があることです。

住居用の不動産を売却して本人の置かれる環境が変わってしまうと、認知症を患う本人のストレスにもなるので、十分に考慮する必要があるでしょう。

そして、代理人は財産をできるだけ減らさないようにする必要があります。

不動産を現金化するだけなら財産は減ってないように感じられるでしょう。

しかし、不動産売却をすると財産が不動産としてではなく現金として残りますが、不動産より流動性の高い現金にすることは財産を減らしたとみなされる行為なのです。

住居用の不動産を売却するためには、正当な理由が必要です。

例えば、空き家の維持が大変だから売却したいという家族の事情では許可は通らないでしょう。

親が必要な介護費を払うなど、所持者本人に直接関係する理由であれば、売却の許可が下りる場合もあります。

 

2つ目の注意点は売却するのに時間がかかる点です。

裁判所に申し立てをしてから契約できるまで、約3カ月〜6カ月かかるでしょう。

不動産売却には、タイミングが非常に重要なので、良いタイミングを逃す可能性もあります。

 

3つ目の注意点は費用がかかる点です。

親族が代理人になれば、必要ない経費が掛かる可能性があります。

弁護士など専門家が選任された場合には、毎月報酬を支払う必要があるでしょう。

報酬の予算は月に4万円前後です。

不動産売買契約が結べても成人後見人はすぐに解任できない点にも注意が必要です。

成年後見人に対する報酬は、認知症軽度の方であるご本人が生きているうちは支払う義務があります。

そのため、成年後見制度を通しての不動産売買は金銭的にも大変だといえるでしょう。

 

不動産売買は認知症軽度でも場合によっては可能

認知症軽度から重度の方までの不動産売買の方法についてご紹介しました。

特に、高齢の方が財産として不動産を所持している場合は、あらかじめどのように処理するか決めておくことが重要でしょう。

当社では常総市を中心に不動産売買のお手伝いを行っているので、認知症軽度から重度まで、不動産売買を検討中の方はぜひご相談ください。