未登記建物が固定資産税に与える影響とは?
未登記建物が固定資産税にどのような影響を与えるかご存知でしょうか。
相続や不動産売買の手続きの際、未登記建物があることに気づく人が多いです。今まで登記の手続きをしたことがない方にとっては、未登記建物をどのように扱ったら良いかわからず、大変お困りになることでしょう。
今回のコラムでは、未登記建物がある場合の固定資産税との関係や、未登記建物を登記しないままにしておくことのデメリット、未登記建物の登記手続きについて解説します。
未登記建物と固定資産税の関係について理解すると、未登記建物を正しく登記することの必要性がおわかりいただけると思います。未登記の建物をお持ちの方はぜひご覧ください。
未登記建物とは
土地や建物を取得したり名義変更をしたときは、その土地や建物の所有者や権利関係を公に登録すること(登記)が法律上で定められています。未登記建物とは、登記簿に正しく登録されていない状態の建物のことです。実際のところ、未登記のまま放置されて所有者が不明の建物が数多くあります。
未登記建物には、次のようなものがあります。
- 新築や増改築
建物が新しく建てられたり増改築されたりして、まだ登記が完了していない場合
- 所有者変更
不動産の売却や購入により、土地や建物の所有権が変わるタイミングで登記が行われていない場合
- 遺産相続
相続人が遺産を受け継いだが、まだ登記が完了していない場合
- 法的手続きの遅れ
手続きに着手したが、書類の不備などにより手続きが遅れて登記が完了していない場合
固定資産税とは?建物登記と固定資産税の関係
固定資産税は、土地や建物などの固定資産に対して課される税金のことです。その固定資産の所有者は、毎年固定資産税を支払う義務があります。
固定資産税の金額は、所有している土地や建物ごとに異なり、それぞれの価値に基づいて計算されています。建物登記が正確になされていないと、固定資産税の計算が正確に行われないため、法的にも問題が生じる可能性があります。固定資産税を公正に評価し徴収するためには、登記が重要であることをご理解いただけたかと思います。
ただし、未登記建物の場合でも、固定資産税は課税されているのが一般的です。固定資産税は現況で判断されており、役所は建物の所在を調査してきちんと把握しています。
未登記建物を放置するデメリット
未登記建物を放置するデメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。
未登記のままにしておくと、固定資産税が正しく徴収されないだけでなく、次のようなデメリットがあるため、未登記建物をお持ちの方はご注意ください。
- 融資を受けられない
未登記建物では、金融機関が土地や建物の所有権や担保権を正確に確認できません。このことが金融機関にとっては不確実性となり、融資の審査が通らなくなります。つまり、住宅ローンが組めないということです。
- 売却しにくい
未登記建物を売却する場合、売り手が住宅ローンを組めないと、一般的に買い手も住宅ローンを組むのが難しくなります。金融機関は安定した不動産の取引を望みますが、正確な権利関係と所有権が確認できない未登記の建物はリスクが高いのです。
また、不動産会社にとっても、信頼性のある情報を買い手に提供できないため、売却しにくい状況となります。
- 相続手続きが面倒になる
相続の手続きにおいて、未登記建物が見つかるケースはよくあることです。故人が長年にわたり未登記建物をそのままにしていた場合、登記の手続きに必要な書類が行方不明になっている可能性が高いため、これらの書類を入手するためには相当な時間や費用がかかるでしょう。
- 底地所有者に権利を主張できない
万が一、底地所有者との境界や権利に関する問題が発生した場合、登記がないと建物に対する法的な主張が難しくなりますので、不利な立場になってしまうでしょう。
未登記建物であるかの調査方法について
未登記建物を調査する方法について説明します。
未登記建物にデメリットがあることを知っていただくことで、より一層登記が重要であることがご理解いただけたかと思います。ご不安な方は一度調べてみることをオススメします。
お手元に、対象の建物に関する権利証や登記済証、登記記録(全部事項証明書など)がありましたら、その建物は登記済みですのでご安心ください。
対象の建物が登記済みなのか未登記なのか不明な場合は、次のように調査します。
建物の登記状況を調査する方法
法務局で対象の建物の「全部事項証明書」を請求しましょう。
全部事項証明書とは、所有者権情報や建物の所在地、登記情報、権利状況などが一つの書類にまとめられているものです。特に、不動産売買取引や融資の際に、必要書類として全部事項証明書の提出を求められることがあります。
請求した結果、全部事項証明書を発行してもらえたら、それは登記済みの建物です。一方、発行してもらえなければ、未登記建物となります。なお、未登記建物であった場合は、そもそも全部事項証明書の発行ができませんので、請求にかかる費用は発生しません。
固定資産税納税通知書で未登記建物を見分けるには
毎年4月頃に送付される「固定資産税納税通知書」から調べる方法もあります。
未登記建物の場合でも、固定資産税は現況で判断されているため、自治体は所有者の代表者宛てに固定資産税納税通知書を送付しているのです。
固定資産税納税通知書の内容を詳しくご覧になったことはありますか?
納税通知書には、課税対象となっている建物の詳細情報(所在地、所有者情報、評価額など)が記載されています。表題部にある「家屋番号」に記載があるかどうか確認しましょう。家屋番号に何も記載がない場合は、未登記建物の可能性が高いです。
ただし、固定資産税納税通知書から取得できる情報は限定的です。確実に調査するには、固定資産税納税通知書ではなく「全部事項証明書」を請求して確認することをオススメします。
未登記の建物を登記するには
未登記建物は登記手続きをできるだけ早く済ませましょう。
法的な手続きや税金が関わってくる案件は、それだけで「わかりにくい」「面倒」という気持ちになり、腰が重くなりがちです。しかし、未登記建物の登記手続きについて概要を把握しておくことで気持ちが軽くなり、落ち着いて登記手続きに着手することができます。
申請から登録が完了するまでには約1週間~2週間程度かかりますので、あらかじめスケジュールを見込んだうえで手続きを行いましょう。
登記手続きの流れは次のとおりです。
- 登記原因となる事象の発生
- 登記申請書の作成、必要書類の手配
- 登録免許税の納付
- 登記申請書・必要書類の提出
- 申請された登記の審査
- 登記の完了
未登記建物を登記するには、「表題登記」と「所有権保存登記」の2つの登記手続きが必要となります。前者は建物の情報、後者は建物の所有者に関する情報を登録します。
ここからは、建物における「表題登記」と「所有権保存登記」の手続き方法や費用、必要書類について詳しく解説します。
表題登記
建物の表題登記では、建物の所在、種類、構造、床面積など、物理的な状況を登録します。登記簿には「表題部」の項目に情報が記録されます。
自分でも申請はできますが、必要書類には自分一人で準備するのが難しいものもあります。必要書類の準備が難しい場合は、土地家屋調査士に依頼しましょう。土地家屋調査士は、土地や建物に関する幅広い専門知識を持つ登記の専門家です。
申請者 | 建物の所有者、土地家屋調査士 |
申請先 | 建物の住所地を管轄している法務局 |
費用 | 登録免許税はかかりません。 土地家屋調査士にお願いする場合は、報酬として10万円前後かかります。 |
必要書類 | 登記申請書 所有者の住民票 所有者の印鑑証明書 所有権証明書(確認済証、工事完了引渡証明書、施工業者の印鑑証明書など) 建物図面、各階平面図 委任状(土地家屋調査士にお願いする場合) |
詳しくは法務局のサイトにてご確認ください。
所有権保存登記
所有権保存登記では、建物の所有者に関する情報(所有権や抵当権、賃借権など)を登録します。登記簿には「権利部」の項目に情報が記録されます。
申請者 | 建物の所有者、司法書士 |
申請先 | 建物の住所地を管轄している法務局 |
費用 | 登録免許税は、原則として固定資産税評価額に0.4%を乗じた金額となります。ただし、住宅用家屋証明書を提出することで登録免許税を軽減できます。 司法書士に依頼する場合は、報酬として2~3万円程度かかります。 |
必要書類 | 登記申請書 所有者の住民票 住宅用家屋証明書(登録免許税を軽減するため) 委任状(司法書士にお願いする場合) |
こちらも詳しくは法務局の公式サイトにてご確認ください。権利部の登記は建物所有者の情報を登記するだけですので、表題部の登記手続きに比べると負担はさほどかかりません。
未登記建物や固定資産税に関してお困りでしたらあきやの未来にご相談ください!
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今回のコラムでは、未登記建物が固定資産税にどのような影響を与えるのか、未登記建物のデメリット、未登記建物の調査方法、登記手続きについて解説しました。
建物の登記は、不動産における権利関係を明確にして、法的なトラブルを回避し、取引を円滑に進めるために非常に重要な措置です。また、固定資産税は登記された内容に基づいて計算され公正に徴収されるべきものです。
あきやの未来は豊富な知識と経験を持ち、お客様の立場に立って的確なアドバイスを提供いたします。未登記建物や固定資産税について少しでも気になることがございましたら、お気軽にあきやの未来へご相談ください。