不動産登記の必要書類は?法務局の相続申請手続きに添付する書類まとめ

2023年6月5日

不動産登記の必要書類は?法務局の相続申請手続きに添付する書類まとめ

不動産登記の必要書類は何か、法務局へ何を提出すればよいのか、不動産を受け継ぐことが決まったものの、突然の出来事に「まったく分からない」とお困りの方も少なくないかと思います。

土地・建物などのいわゆる不動産を受け継ぐ場合、車やバイク、有価証券などの動産と違って、法務局への不動産登記の相続申請手続きが必要です。

一般的には司法書士事務所へ依頼するケースが多いのですが、実はこの法務局への不動産登記の相続申請手続きは、必要書類を具備して提出できるのであれば、ご自身でも可能です。

不動産登記の相続申請手続きで法務局へ提出する必要書類や、手続きの要点をご説明いたします。

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不動産登記の必要書類は何?法務局の相続申請手続き方法をご紹介

必要書類を細かく解説する前に、法務局で行う不動産登記の相続申請手続きとはどのようなものか、その概要についてご紹介します。

受け継いだ不動産の所有権移転、すなわち名義を被相続人(相続をする側)から相続人(相続を受ける側)に変更する事が、法務局での不動産登記の相続申請手続きです。

この他にも、所有権保存にはじまり、抵当権設定など、不動産は法務局の登記の制度でその不動産の権利関係の実態を明らかにする、というのが我が国の不動産共通のルールなのです。

受け継ぐ内容が確定次第、必要書類を準備して、管轄の法務局へ提出する、という流れで不動産登記の相続申請手続きが可能となります。

不動産登記の相続申請手続き方法

必要書類を準備して、ご自身で不動産登記の相続申請手続きを行う場合、以下の3パターンの方法がございます。

  1. 必要書類を法務局へ持参して提出
  2. 必要書類を法務局へ郵送して提出
  3. 法務局のwebサイトからオンラインで申請

法務局への不動産登記の相続申請手続きには、住民票や戸籍謄本などの必要書類を準備する必要があります。

相続人が単独(一人)であれば、ご自身で法務局の手続きを行う方も珍しくありません。

ですが、相続人が複数人いる場合は、不動産登記の必要書類の準備なども煩雑になりますので、司法書士等の有資格者へ依頼する、というケースが多いかと思われます。

相続財産の範囲が多岐に渡り、財産の全体像の把握が困難である場合や、揉め事・トラブルが生じているようであれば、法務局への不動産登記の相続申請手続き実施前に遺産分割協議や財産の内容の調査なども必要となるため、司法書士をはじめとした専門家に依頼するのが手堅いでしょう。

オンラインでの不動産登記の相続申請手続きについては、法務局のwebサイトを閲覧いただければ、詳細な流れが記載されておりますので、以下法務局のURLをご参考ください。

法務局 不動産登記の電子申請(オンライン申請)について
登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと

不動産資産の相続ケース別に必要書類を詳しく解説!

不動産登記の相続申請手続きには必要書類の用意が不可欠ですが、一口に不動産相続と言っても、大きく3つのケースがございます。

どういった相続方法かによって法務局に提出する必要書類に若干の違いがありますので、以下をご参考ください。

1.法定相続

被相続人(相続をする側、亡くなった側)の配偶者や血族の方には、法律により相続可能な遺産の割合が予め定められています。

これを法定相続分と言いますが、遺言などにより相続人や相続財産の内容が取り決められていない場合、一般的にはこの法定相続分の割合で相続人がそれぞれ遺産相続を受けることができます。

相続人が多いほど、割合は少なくなりますが、予め法で定められた割合ですので、トラブルも少なく、法務局での不動産登記の相続申請手続きが容易なケースと言えるでしょう。

2.遺言による相続

被相続人が、生前に遺言を残している場合、法的に効力を持つ有効な遺言書でしたら、法定相続分ではなく遺言の内容が優先されます。

ただし、遺言によって配偶者などへの相続分が無い場合、住宅やその他財産を失ってしまい、生活に著しい支障をきたす場合が考えられます。

この場合は、被相続人の意向よりも、遺留分という財産の範囲が指定され、相続財産の半分までは法定相続人が遺留分減殺請求権という権利を行使することで遺言を無視して財産の相続を受けることができるようになっております。

また、相続人全員の同意があるのでしたら、遺言の内容を無視して、相続人同士で遺産分割協議を行い、相続の内容を決めることはできるようになっています。

3.遺産分割協議による相続

相続人が全員で協議を行い、最終的なそれぞれの相続分を決める方法です。

相続人全員が同意し、遺産分割協議書という書面を作成することで、この方法での相続も可能となります。

このように、大別して3つのケースがございます。

法務局への不動産登記の相続申請手続きにおける基本的な必要書類は同じですが、ケースによって追加で用意する必要書類が異なります。

以下、法務局への相続申請手続きの必要書類と、書類の準備にあたっての注意点をご説明いたします。

不動産登記相続手続きの必要書類はこちら!登記申請書や印鑑証明など

  1. 登記申請書(管轄の法務局で取得可能)
  2. 被相続人の戸籍謄本(被相続人の最終の本籍地がある自治体の役所で取得)
  3. 被相続人の住民票除票(被相続人の最終の住所地の役所で取得)
  4. 相続人全員分の戸籍謄本(それぞれの本籍地の役所で取得)
  5. 相続人全員分の住民票(それぞれの住所地の役所で取得)
  6. 相続人全員分の印鑑証明(それぞれの住所地の役所で取得)
  7. 固定資産評価証明(相続の対象となる不動産の住所地の役所にて取得)

以上の必要書類の他、遺言によれば当然ながら法的な効力を持つ遺言書が法務局へ提出する必要書類になります。

また、遺産分割協議であれば、遺産分割協議書も法務局へ提出する必要書類ですのでご注意ください。

相続人が一人の場合は、印鑑証明が不要となります。

誤って取得しないようご注意ください。

被相続人の戸籍謄本については、死亡の時から出生時点まで遡ったものが法務局へ提出する必要書類になりますので、こちらの点についても注意が必要ですね。

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不動産登記の相続で知っておくべき事項や情報

不動産登記の相続申請手続きにあたっては、法務局へ提出する必要書類の他にもいくつか知っておくべき事項がございます。

いくつかご紹介いたします。

1. 法務局の不動産登記相続申請手続きにかかる費用

法務局への不動産登記の相続申請手続きには、一定の費用がかかります。

対象の不動産の、固定資産税評価額の0.4%の登録免許税という税金の納付が必要となりますので、法務局などの窓口で金額分の収入印紙を購入して、登記申請書の指定箇所に貼付しましょう。

登録免許税の他にも、住民票や戸籍謄本、印鑑証明などの必要書類を取得するための手数料が発生します。

自治体によって金額差がありますが、数百円程度の場合がほとんどでしょう。

役所(役場)で必要書類の発行と引き換えに支払う形となります。

2.司法書士の事前相談がおすすめ!依頼時の報酬額を確認

不動産登記手続きの場面で出番の多い司法書士。

司法書士以外にも、弁護士などの法律の専門家で、法で認められた有資格者であれば、不動産登記手続きを有償で行うことができます。

専門家へ依頼した場合、支払うべき報酬額の目安は、一般的には6万程度〜9万前後となりますが、どの程度の範囲を依頼するかで報酬額が安く済むケースもあります。

また、相続人が遠方で、必要書類の取り寄せに手間がかかるなど、依頼した内容の範囲が広い場合は10万円程度まで報酬額が上がる可能性もございます。

各司法書士事務所にそれぞれ事前相談をしてみるのがオススメです。

3. 不動産登記の相続申請手続きをしないとどうなる?法改正の情報もチェック

不動産は、不動産登記の制度があるため、受け継いだり売買したりする際に、手間や面倒が多いものですが、不動産登記の相続申請手続きをせず放置していたとしても、期限が設けられている訳でもありませんし、罰則規定が定められているということもありません。

ただ、所有権が移転していない状態となるため売却ができない状態となりますので、当該不動産を相続後に売却を考えている方は、速やかに法務局への不動産登記の相続申請手続きを済ませておくべきでしょう。

また、受け継ぐ人が複数いる場合は、遺言書の効力を証明することが難しくなってしまったり、せっかく遺産分割協議の割合が全員で合意したのに、誰か翻意してしまうようなリスクもありますので、いずれにしても、不動産登記の相続申請手続きは早めに手続きをしておくのがベストです。

(※相続登記の申請義務化が令和6年4月1日より施行されます。正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料が科されることがあります。詳しくは、法務局のHPをご覧ください。)

不動産登記の相続申請手続きは、後々の売買にも大事

必要書類を準備して法務局での不動産登記の相続申請手続きを行うのは、手間もかかりますし、費用もかかります。

しかしながら受け継いだ不動産の所有権をご自身に移転する、いわゆる名義変更の手続きとなりますので、不動産登記が完了しないことには不動産の所有権を主張できません。

法務局へ提出する必要書類も多く、郵送やオンライン申請であれば別ですが、法務局に足を運ぶ面倒もあります。

受け継ぐ人が多い場合は、遺産分割協議書の作成など、日常の生活では接点のない必要書類も出てきますので、トラブルを回避してスムーズに不動産登記の相続申請手続きを済ませたいのであれば、報酬額の支払いは必要ですが、司法書士をはじめとした専門家に依頼するのが得策と言えるでしょう。

必要書類

繰り返しになりますが、不動産登記の相続申請手続きの際に法務局へ提出する必要書類は、

  1. 登記申請書
  2. 被相続人の戸籍謄本
  3. 被相続人の住民票
  4. 相続人全員の戸籍謄本
  5. 相続人全員の住民票
  6. 相続人全員の印鑑証明
  7. 固定資産評価証明書

の7点となります。

遺言によって決めた場合は遺言書が必要書類ですし、遺産分割協議によって決めた場合は遺産分割協議書が別途必要書類となるので法務局へ行かれる際はご注意ください。

注意事項

各種必要書類を取得するための手数料の他に、受け継いだ不動産の固定資産評価額の0.4%分の登録免許税もコストとして発生します。

期限の定めはありませんが、長期化すると相続がスムーズに進まないことが考えられますし、売却などもできないままとなってしまうため、不動産を受け継ぐのであれば不動産登記の相続申請手続きも早めに済ませることが望ましいです。

※令和6年4月1日より相続登記の申請義務化がより施行されますので、ご注意ください。