相続放棄で空き家はどうなる?残る管理責任とリスクを解説
相続放棄をすると空き家はどうなるのか、管理義務やリスクは残るのか不安な方もいらっしゃるでしょう。「相続放棄をしたのだから、空き家の所有権も放棄していることになるので、空き家がどうなるか関係ない、管理をする義務はない」と主張される方もいらっしゃるようですが、それは大きな間違いです。
被相続人が複数人いる場合で、自分を含めた全員が相続放棄をした際や、被相続人が自分のみで相続放棄をした場合など場合は、空き家を放置することによって生じるリスクに対して、適正な維持・管理を行わなければならないのです。
相続放棄で放置された空き家がどうなるかというと、建物の損壊などによって近隣に迷惑が及んでしまったり、通行人に怪我をさせてしまう可能性もある他、不審火などによる火災の発生や不審者の悪用など、犯罪の発生原因のひとつなってしまうかも、などが空き家放置のリスクの一例です。
相続放棄をしても空き家の管理責任からは逃れられない、というのは、相続人にはやや酷なお話ですが、どうすれば管理責任を免れることができるのでしょうか。
空き家の管理責任を終わらせる方法は?相続財産清算人(相続財産管理人)
空き家の管理責任を終わらせる方法はあるのでしょうか。「相続財産清算人(相続財産管理人)」を選任する方法があります。
空き家は、相続をした場合はもちろんのこと、相続放棄をした場合でも管理責任が付きまとうため、遠隔地に在住の方などはお困りになるケースも多いでしょう。民法の規定で、土地・建物などのいわゆる不動産は、所有者がいない場合は国庫へ帰属する、と定められています。ただし、相続放棄をしたのみでは国庫に帰属するわけではなく、所定の手続きが必要となります。
最初に、家庭裁判所へ申立てを行い、「相続財産清算人(相続財産管理人)」という方を選任し引き渡し、相続財産清算人(相続財産管理人)が国へ交渉し、一定の水準をクリアした物件について国の財産として、不動産の権利が移行した時点で、初めて管理責任がなくなる、という流れです。
しかし、相続財産清算人(相続財産管理人)を依頼するためには、予納金をはじめとして、報酬の支払いも必要ですから、負担がまったくないわけではありません。更に、様々な財産の中でも、不動産は国庫に帰属させるよほどのメリットが国側にない限り、ほとんど引き取ってもらえないケースが多く、引取が完了するまで相続財産管理人への報酬も定期的に発生し続けるため、長期的に負担が増額となってしまうリスクも高いのです。
そもそも相続放棄はするべき?空き家所有なら慎重な判断が必要
そもそも相続放棄はするべきなのか、空き家所有の場合は慎重な判断をする必要があります。
相続放棄自体は、相続税や固定資産税の負担は免れることはできますので強ち間違いとは言い切れませんが、空き家所有の場合、空き家の管理は大変、だから相続放棄した、といっても管理責任が伴うという不便があります。また、それを解消するためには、相続財産管理人を選任し、国庫に帰属させる必要があり、そして相続財産管理人には、国庫への帰属が完了するまで報酬が発生し続けます。これが空き家を相続放棄する方の憂慮すべき大まかな要素となります。
一般的に相続放棄というと、被相続人より相続する資産のうち、負債の額が財産より大きい場合に検討されるものです。負債や債務も法律上、相続財産とみなされるためです。空き家などの不動産も資産としてカウントされますので、相続人は全員でどうなるのか相続すべきなのかの話し合いが必要となります。
相続と一口に言っても、細かく分類すると単純承認や限定承認など、説明すべき事項が多数ありますが、相続自体をしない=相続放棄という方法は、相続人全員の合意はなくとも、相続人の一人が単体でできる行為で、被相続人の住所地の家庭裁判所にて、相続が開始されたことを知った日から3ヶ月以内であれば手続きができます。
ただし、一度相続放棄をしてしまうと、法律上、はじめから相続人にではなかったとみなされるため、後からの撤回はできませんので、先ほどもお伝えした通り慎重に判断する必要があるといえます。
空き家を相続せず、管理責任も負いたくない!のであれば、売却でお悩み解決
空き家を相続せず、管理責任も負いたくない!のであれば、売却をご検討ください。
空き家をはじめとした不動産などは、相続するだけでも税負担があったり、相続放棄をしても、管理責任を免れるためには所定の手続きで国庫に帰属させなければならない、更に国は不動産をなかなか引き取らない、というと、一見八方塞がりの状況のようにも見えますが、こういったお悩みを解決するたったひとつの方法、それが売却です。
売却、と聞くと、「買い手がそんなに簡単に見つかるのだろうか」「売買契約の手続きは難しそう」などご不安も多いかもしれません。確かに、個人レベルでは困難ではありますが、プロの不動産業者に依頼してしまうのが間違いのない方法です。売買契約が成立した場合の報酬額の支払いなど、負担がまったくないわけではありませんが、相続税や固定資産税、相続財産管理人へ支払う予納金や継続的に発生する報酬に比べれば廉価です。不動産取引時に発生する報酬額は、宅地建物取引業法という法律によって規定されており、不動産の価値に応じて増減がありますが、負担の割合は原則平等です。継続的に支払う性質のものでもありません。
不動産業者によっては、名義変更手続きや相続予定だった空き家の残置物の撤去・処分なども包括的に業として行っているところもありますので、何件かご相談してみることをオススメします。空き家でお困りの方、相続放棄を検討中の方は、是非一度、最寄りの不動産業者に相談してみてください。