空き家の維持費は年間いくらかかる?

2023年8月29日

空き家の維持費は負担増!運用の見直しもおすすめ

空き家の維持費について考えたことはございますか。

親族などから相続したはいいが、所在地が遠すぎて日常的な管理や手入れもできないし、住む予定もまったくない、といった理由で空き家を放置している方もいらっしゃることでしょう。

住むか住まないかを問わず、所有しているというのみで空き家は維持費の負担が発生します。

空き家を維持するためにかかる維持費はどの程度なのか、一度把握してみて、今後も所有を継続するか、売却して手放すなどの別な運用方法も検討してみましょう。

空き家の維持費 年間

 

空き家の維持費は具体的にどのくらい?年間の維持費について細かく解説

空き家の維持費には、諸々の税金負担や保険料、維持管理に必要な水道光熱費などが挙げられます。

空き家の維持費をひとつひとつ見ていきましょう。

●空き家の維持費① 固定資産税
空き家の維持費として、不動産運用でかかる税金の代表格とも言える固定資産税。

不動産を所有していない方でもお耳にしたことがある方も多いはずです。

空き家、すなわち不動産を所有している以上、空き家の維持費である固定資産税の負担は免れることはできません。

固定資産税の税率は、土地・建物それぞれの固定資産税評価額の1.4%となります。

ただし、空き家などの住居が建っている土地については、固定資産税の住宅用地の特例がありますので、以下をご参考ください。

空き家の維持費:固定資産税の特例

【小規模住宅用地:土地の面積の200㎡以下の部分は、評価額が課税標準×1/6】

【一般住宅用地:土地の面積の200㎡以上の部分は、評価額が課税標準×1/3】

200平米ですと、概ね60坪程度ですので、地域によって区画の広い・狭いがあるかもしれませんが、もし60坪以上の土地で土地の固定資産税評価額が1,500万円だった場合は、以下の計算となります。

<1,500万円×3分の1×1.4%=7万円>
土地と違って建物には住宅用地の特例はありません。
もし、建物の固定資産税評価額が500万円でしたら、

<500万円×1.4%=7万円>
となります。

空き家の維持費として、土地・建物の合計で14万円の固定資産税の負担が生じる、という訳ですね。

 

●空き家の維持費② 都市計画税

固定資産税の他にもうひとつ、空き家の維持費として忘れてはならないのが都市計画税。

都市計画法という法律で規定されている「市街化区域」に該当する地域に土地・建物がある場合に課税されます。

自治体によって税率に差異がありますが、最大で固定資産税評価額の0.3%となります。

固定資産税同様、土地にのみ、住宅用地の特例が設けられています。

【小規模住宅用地:土地の面積の200㎡以下の部分は、評価額が課税標準×1/3】

【一般住宅用地の特例:土地の面積の200㎡以上の部分は、評価額が課税標準×2/3】

固定資産税の事例と同じく、土地の固定資産税評価額が1,500万円・建物の固定資産税評価額が500万円で200平米以上の土地だった場合の計算は以下のとおりです。

土地<1,500万円×3分の2×0.3%=3万円>

建物<500万円×0.3%=1.5万円>

空き家の維持費として、土地・建物合計で4.5万円の都市計画税負担が発生します。

※市によって変わります。

 

●空き家の維持費③ 電気代・水道代

誰も住んでいない空き家でも、維持管理に必要な清掃などを行うために電気と水道を使用できる状態を保つのであれば、空き家の維持費として電気と水道の料金がかかります。

使用頻度が低いとは言え基本料金のみでも、空き家の維持費が電気と水道と合わせて年間3万円程度かかる可能性があります。

電力会社によって電気の基本料金は違いますし、水道については各自治体が管轄していますので、お住いの市町村によって違いが出ます。

あくまでも目安です。

もし、一時的な帰省の際に宿泊する、などの場合は、空き家の維持費としてガス料金がかかることも有りえます。

 

●空き家の維持費④ 保険料
空き家とは言っても火災リスクは付きものです。

予期せぬ箇所からの失火や、放置されている空き家に不審者が出入りして放火、という危険性も考えられます。

全焼しても建物自体が古くて資産価値が低いからそれほど痛手にはならない、とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、火災の後の残骸の処理や他に発生した被害に対しての賠償責任も負う可能性があります。

他にも建物が古いが故に、強風などで飛ばされた屋根による被害や、地震によって崩壊した壁による被害などのリスクも考えられます。

こういった被害のリスクヘッジのために、火災保険や地震保険の加入は必須と言えるでしょう。

人が住んでいる住居用の物件ではなく、誰も住んでいない空き家の場合は「一般物件」と区分されるので、火災保険料が高くなる傾向にありますのでご注意ください。

保険会社や選ぶ保険商品によって差は出ますが、空き家の維持費として概ね年間3万円程度は見込んでおくべきでしょう。

以上、税金をはじめとして4つの空き家の維持費についてご紹介しましたが、諸々を計算していくと、20〜30万円前後の負担となることも十分考えられます。

物件によってはここまで空き家の維持費が高くならない可能性もありますが、高めに見積もっておいて損はないでしょう。

ここまでピックアップしたのは、所有している限り発生する最低限の空き家の維持費の部分で、これら以外にも別途かかる可能性のある費用がいくつかあります。

引き続きご紹介していきます。

空き家の維持費 税金

 

空家等対策特別措置法による固定資産税・都市計画税の増税

空家等対策特別措置法による固定資産税・都市計画税の増税について、ご紹介します。

2015年に施行された「空家等対策特別措置法」という法律の規定により、空き家の状態によっては、維持費である税金が上がる可能性がでてきました。

条文そのままの文言を借りると、
『そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家等をいう』と定められています。

端的に言えば、放置されていて管理状態が悪く、防災・防犯、衛生、景観などの悪影響を近隣に与える可能性が高い空き家、となります。

空家等対策特別措置法上の「特定空家」と認定されると、固定資産税評価額に関して、土地部分に認められている住宅用地の特例が適用されなくなってしまうのです。

単純計算で、空き家の維持費である固定資産税は3~6倍に、都市計画税は最大3倍に増額となります。

空家等対策特別措置法は、増加の一途をたどる空き家対策で国が打ち出した政策の一環ですので、空き家放置はこれからの時代、所有者にとってよりリスキーとなってしまいます。

 

不動産の修繕費用・管理費用も空き家の維持費

不動産の修繕費用や管理費用も、空き家の維持費となります。

日頃から定期的にご自身でお手入れをできるなら結構ですが、修繕や管理にそれほど時間を割ける方はごく少数かと思います。

庭木や雑草の処理の他、ご自身では困難な、屋根や外壁の塗装部分の塗り直しなどにかかる維持費も、数年に一度は必要です。

外物置やカーポートなどの敷地内の造作物があるのでしたら、それらの維持費・管理も必要となりますのでご注意ください。

空き家が遠方のため、空き家の所在地近郊の不動産業者などに管理委託をする場合は、空き家の維持費として管理手数料の負担も生じます。

 

空き家の維持費はもったいない?売却や運用など空き家の活用方法

空き家の維持費をかけるのはもったいないから、売却や運用でどうにか空き家を活用したい、とお思いになった方もいらっしゃるかもしれません。

空き家の維持費は固定資産税などの税負担の他、修繕にかかる費用など多岐に渡り、全部を合計すると決して安価とは言えない維持費として所有者にのしかかります。

空き家をどうするかについて、いくつか方法がございますが、一番手っ取り早いのは売却です。

買い手がつきにくい物件でも売れやすくする方法などもいろいろありますので、売却を検討してみるのが最も妥当な空き家の処遇と言えます。

売却をはじめとして、以下にいくつか空き家の運用についてご案内いたします。

▼01.土地・建物をまるごと売却
本項冒頭でお伝えしたとおり、手っ取り早い空き家の処分方法。

土地は別として、建物については経年劣化や自然損耗によって、時間経過とともに不動産としての価値は下がり続けます。

空き家=元々新築などではなく、一定年数経過している家屋がほとんどかと思われます。

放っておけばますます買い手がつきにくくなってしまいますので、売却を検討されるのであれば少しでも早めに判断しましょう。

 

▼02.建物を解体して更地にしてから土地を売却
建物が余りにも古いのであれば、購入する側も土地が目当てで建物は予め解体することを想定して取引されるケースも少なくありません。

買い手側としても、解体費用の負担がないため購入の食指が動く可能性がアップします。

ただし、解体費用をこちら側が負担しなければならない点や、更地しても長期間売れない場合の土地の管理や税負担などの維持費からは解放されない点についてはご注意ください。

また、空き家といえども住宅ですので、解体をした場合は固定資産税評価額に特例が適用されない、つまり固定資産税・都市計画税が増額となってしまう、という点も踏まえて慎重に判断しましょう。

そして常総市・坂東市・下妻市の土地は売れにくく、余っている状態です。

 

▼03.賃貸運用
売却して一時的な売却益を得るより、誰かに貸して定期的に賃料収入を得る方法です。

地域特性が色濃く出ますので、妥当な選択とは言いにくいのですが、ニーズがあるエリアでしたら中〜長期的に不労所得を得ることができます。

ただし、貸家として貸すのであれば、設備不具合などは貸主負担にて修繕しなければならず維持費がかかり、滞納リスクも併存します。

賃貸管理について、専門の不動産業者に委託することで、管理手数料は発生しますが、賃貸で貸し出す場合の面倒ごとはあらかた引き受けてくれるので楽です。

2020年4月1日で民法が改正されたため、連帯保証人を付けずに、月額の賃料や退去修繕費などが未回収の場合でも立替てくれる保証会社審査を通して貸し出す管理会社も増えてきましたので、賃貸運用であれば管理会社に委託する方が無難です。

貸家として運用する他、更地にして月極駐車場など、土地の貸し出しという賃貸運用方法もエリアによっては有りかもしれませんね。

 

以上のように、空き家の維持費は所有しているだけで最低限でも20~30万円程度かかる可能性があるので、理由もなく所有して放置し続けるのは非常にもったいないのです。

最悪なのは、前述したとおり、空家等対策特別措置法における、「特定空家」の認定を受けてしまうことです。

放置していると特定空家認定の可能性が飛躍的に高まり、最終的には空き家の維持費である固定資産税や都市計画税が跳ね上がってしまいます。

空き家の維持費・管理が困難であれば、無理に空き家を所有し続けるよりも、早々に売却してしまう方が賢い選択です。

所有者の負担(維持費)や責任が、思っている以上に大きいのが空き家なのです。

当社では常総市を中心に不動産売買等のお手伝いを行っているので、空き家の売却や運用を検討中の方はぜひご相談ください。